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八代目園主『夢追い人』【アイコン】 和×夢 nagomu farm


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白露 漬け or 原料出荷?【南高梅2017】


漬け or 原料出荷? 【南高梅2017】  和×夢 nagomu farm

2017年産の梅作柄は、

平年比77%で過去10年間で3番目の【不作】

と言われています。

作柄に伴い、白干し梅生産量【2017】は

2012年産と【ほぼ同数】の生産量で

過去10年平均比の【15%減】と見込まれています。

 

青果/白干し両方共に、取引価格は高騰している状況です。

毎年、梅漬け農家の間では、

【漬け梅 or 加工原料出荷】いずれが得策だったか…

という話題が絶えません!

 

明確となった加工原料価格/白干し流通価格と、

梅干し作業時の統計データを基に、

『漬け or 原料出荷?』について検証してみました。

検証データと個人的見解を、以下に記します。


壱. 漬け梅時の歩留まり

一般的に、青果【20kg】=白干し1タル【10kg】と言われます。

その根拠を見いだすべく、

『3Lサイズ【秀~良】』漬け込み桶データを基に

グラフで表現してみました。

 

【漬け or 加工原料】を考える上で【根拠】となる部分について以下に記します 

南高梅【梅干し歩留まり】グラフ 和×夢 nagomu farm

※上記グラフ数値は、以下の条件下で算出しています

 ◆原料梅:コンテナ1杯【20kg】として、

      漬け込みコンテナ数を基にした概算値

 ◆原塩 :当園では、漬け込み塩度【20%】で漬け込み

      塩度=原塩÷【原塩+原料梅】の公式から、

      コンテナ5杯に対し、塩【25kg】で漬け込み

     【原料梅算出値÷4】で出した概算値

 

 ◆白干し梅 :干し梅重量【1タル:10kg】にて積み上げ

 ◆梅酢&乾燥:漬け込み時、原塩浸透で発生する梅酢

        干し作業時、水分蒸発され白干しに

        梅酢量が明確にできないため、

       【全体量ー白干し梅】で出した概算値

主力階級である

2017年産3Lサイズ【秀~良】の漬け桶から、

算出しグラフ化した情報によると、

 

◆白干し梅:原料梅+原塩重量の【約半分】

◆白干し梅の原料梅重量比:63.5%

 他の漬け桶も、62~67%の範囲内となってます

 

以上の情報を基に換算すると、

コンテナ1杯【20kg】から生産される

白干しタル【10kg】のタル数は、

1÷【0.62~0.67】≓ 1.5の算出値から、

【約1.5タル】の換算値となります。

 

梅干し作業をするには、

◆漬け込みする原料代【原塩】

◆干し作業時の別途雇用費

を別途考慮する必要はありますが、

 

タル詰め時の【1タル平均価格】を算出することで、

加工原料の【1kg価格】と

タル平均価格【1kg価格】÷換算値【1.5】を

比較する事で、

『漬け or 加工原料?』の【1つの答え】

を見いだす事ができると考えています。

 

一般的に言われる

平均梅干し1タル価格【10kg】が、

青果コンテナ1杯価格【20kg】と同額以上

必要とされる言葉は、

漬け込み原料/干し作業人件費etc. を含めた

簡単な比較方法として、

あながち【的を射てる】と納得できます。 


弐. 南高梅漬け戦略【2017】

手取南高梅【等級】比較円グラフ 和×夢 nagomu farm
南高梅出荷内訳表【2017】 和×夢 nagomu farm

当園南高梅の生産量目安【30t】を基に、

園地条件/作柄傾向を考慮して、

【手取り収獲/ネット収穫】の振分をしています。

 

【ネット収穫】園地についても、

◆梅の品質傾向:手取り収穫果の等級分布

        病害の発生状況

        気象条件から梅の皮質予想

◆梅の熟度:園地別に収穫予想量を元に、

      落果率より漬け込み最適期割出

◆傾斜地・平坦地etc. の園地条件

 

本年産は、手取り収穫【等級分布】から、

◆秀品率:昨年比の約9割程度

◆優品率:昨年比の約1.5倍程度

タル詰め作業時の【デメリット】予想をし、

【漬け梅 < 加工原料出荷&市場出荷】を意識して

漬け戦略を打ち出した結果、

昨年比【4割減】の漬け込み量に至っています。

南高梅全体量【約30%】の漬け込み量となってます。

 

当園のネット収穫果実は、

選別作業時に4つに大別し、階級分けしています。

◆チョーヤ規格【秀~良】:漬け or 原料出荷

 2017年産比率【 漬け:原料出荷 ≓ 1:5】

◆格外【外・小切】:漬け

◆早熟【青色果】:原料出荷

◆捨て【その他】:廃棄 


参. タル詰め時の等級分布

園地別南高梅収穫率【2017】 和×夢 nagomu farm

当園のネット収穫対象園地は、【7園地】あります。

出荷振分する【秀~良】については、

◆平坦地:果実熟度の【最適期間】のみ漬け込み

◆傾斜地:チョーヤ完熟etc. の加工原料出荷

を基本線に振分しています。

 

2017年の5月~6月中旬期間は、

まとまった降雨がなく【乾燥】傾向でした。

6月下旬以降、本格梅雨入り【降雨】となりました。

気象傾向が示すとおり、

2017年産の品質は【皮厚傾向】となってます。

【切れ果】率が少ない分、【格外】率が非常に高い

タル分布表より判断できます。

昨年比で、品質【悪】なタル分布となってます。

 

まとまった降雨による【果実肥大】した

ピーク後半だけで【タル分布】を集計したところ

白干しの【皮質】が大きく向上してる事

確認できます。

 

さらに理想を言えば、

【乾燥年】の梅干し品質傾向を考慮して、

漬け込み開始時期を遅らせる【対策】をとった方が、

1タル平均単価UPに繋がる…と感じています。



四. 漬け or 原料出荷?【2017】

2017年産の原料出荷価格は、

不作による取引価格の高騰により、

田辺市場では【昨年比2倍】価格で取引されました。

【チョーヤ完熟/市場出荷etc.】の価格状況を

平均すると、【450円程度】だと考えられます。

 

2017白干し取引も始まり、

A級タル価格は、昨年価格の【4割高】 で、

【9,700円前後】の取引だと報道されてます。

 

【秀~良】規格である、

加工原料出荷と漬け梅【白干し】を比較すると、

加工出荷【¥450】と対等となる1タル平均価格は、

¥450×20kg÷換算値【1.5】=¥6,000

となります。

タル分布を示している3L【秀~良】桶にて、

現時点のタル取引価格で【全量取引】したと想定して

1タル平均単価を計上してみると、

原料出荷より計上した【¥6,000】よりも、

高価格となります。

※但し、当園の3L【秀~良】の漬け込み梅は

 平坦園地の適熟期しか漬け込み利用してません

 実際1タル平均価格は、まだ少し低い予想です

 

現在、梅タル流通状況が【不足】傾向である事を

考慮すると、さらにタル流通価格は高騰するモノと

予想されます。

タル詰めした梅タルが、

【格落ち】せずに全量流通できる農家であれば

『原料出荷 < 漬け梅』なのが

2017年の【回答】なのでは…と感じています。

 


但し、【¥6,000】という平均タル価格は、

漬け原料/干し作業の人件費etc.  を考慮していない【目安価格】になります。

その農家環境に応じた観点で判断し、

経営指針となる再生産価格【平均1タル単価】算出の必要性を感じています。

 

JAより提示された資料には、

梅干しの再生産タル単価【¥5,500】とあります。

※但し、全規格【秀~格外】を含めた平均1タル価格

 

高騰価格といわれる【2017年】の平均タル価格は、

平均タル価格【2017】 > 再生産価格【¥5,500】

かと、感じています。 

五. 干し作業レポート【2017】

干し作業推移【2017】グラフ 和×夢 nagomu farm
梅タル生産者責任シール【2017ver.】 和×夢 nagomu farm


2017年の【うめ仕事】は、

前年比【4割減】の漬け込み量の為、

24日間で作業を終えられました。

 

当園の『干し作業』の基本的な考え方としては、

◆土用入り【前後】~8月末を、作業期間とする

◆作業期間内に終える事を意識し【漬け込み量】調整

◆タル価格と加工原料価格予想から出荷振分を調整

 

2017干し作業は、

『台風5号』直撃の【8/7】以外は、

連日【真夏日】が続く干し【好条件】だった為、

予定よりスムーズに作業完了しています。

 

◆家内労力による【タル詰め作業】

◆タル詰め作業高度化と両親の高齢化

◆秋冬期の作業時間確立

 

以上の点を考慮すると、

当園としては【加工原料推し】の体系となってます。

収穫効率の良い【ネット収穫】で、

南高梅の栽培面積/園地管理で生産量維持する為に、

『漬け or 加工出荷』を意識しながら

今後も漬け込み量の【適量】を目指したい…

と考えています。


今後の梅産地維持を考えた場合、

就農人口の減少&高齢化は避けて通れない【課題】だと考えてます。

現在のタル詰め基準は、

高齢化する農家サイドでこなし続けるのは、困難だと感じます。

 

生産/収獲/一次加工【漬け込み&干し&タル詰め】と農家が担当している作業を、

【生産/収獲/原料出荷】に一部調整し、一次加工の作業の一端をメーカー側で担っていただく事も、

生産量維持の実現方法ではないか…と個人的に考えています。 


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