地元新聞紙の情報によると、
2018年産南高梅の作柄は
2017年産比で、約150%の【豊作】 で
過去10年で3番目に多い出荷実績だった模様です。
例年、【豊作】時は市場価格が大幅下落するのですが、
【2018年産】JA紀南の青梅販売価格は
と新聞報道にあります。
【梅干し】も、熱中症対策の需要etc.から、
取引される梅タル価格は、安定価格であるように感じています。
毎年、梅農家で絶えない話題である
『漬け梅 or 加工原料出荷 いずれが得策か…』
について、
当園の2018年産収集データを基に
『漬け or 原料出荷?』を検証し、個人的見解を以下に記します。
壱. 南高梅作柄【2018】
本年産の梅開花始めは、7日程遅れでした。
◆ 開花期間の好気象条件で花粉交配が良好
◆ 3~4月積算気温値が高く生育前進傾向
の生育状況から、
【豊作/ピーク前進傾向】の予想で、収獲期となりました。
実際に収穫期を迎えると、
積算気温値によるピーク予想日はハズしましたが、
ピーク時の落果数量が【短期集中】する傾向となりました。
当園は【若木&成木率】が高い樹齢分布である理由からか、
昨年【不作】⇒本年【豊作】の作柄状況下で、
◆10aあたりの平均収穫量【約2.7t】
◆収穫量昨年比【約135%】
の満足できる作柄【生産量】になりました。
弐. 南高梅出荷戦略【2018】
当園の南高梅生産量の平均目安は【30t】。
2018年の生産量は、【40t】に迫る結果でした。
園地条件/作柄傾向を考慮して、
【手取り収獲/ネット収穫】と園地を振り分けてます。
【ネット収穫】対象7園地に対しても、
以下の条件で
漬け込みする時期/数量を調整しています。
◆梅の品質傾向
手取り収穫果等級分布/病害の発生状況/
気象条件より推測できる梅の皮質予想
◆梅の熟度
園地毎に予想量を算出/
落果率から漬け込み最適期を割出
◆傾斜地/平坦地etc. の園地条件
本年産では、
【豊作/小玉傾向/後半のスス斑症発生】
を考慮し、
最大漬け込み量【15t】を意識しながら、
基本方針として
【漬け梅 < 加工原料出荷&市場出荷】を
例年同様に意識して、出荷振分に努めました。
通常の出荷振分を実践した際に、
容易に最大漬け込み量【15t】に達する事を
考慮して対応しました。
最善な【熟期/階級/等級/園地条件】を
意識しながら対処し漬け込みした結果、
ほぼ満足な出荷振分となっています。
参. タル詰め時の等級分布
当園のネット収穫対象園地は、【7園地】。
出荷振分する【秀~良】については、
◆平坦地:最適熟度【期間】のみ漬け込み
◆傾斜地:チョーヤ完熟etc. の加工原料出荷
を基本線に振り分けしています。
収獲期後半、
【市場取引】価格が大幅下落していた事から、
【格外】果は、重点的に漬け込みました。
【秀~良】の選果果実については、
適熟/最適園地/最適階級に絞って漬け込み調整しました。
2017年産は、
5月~6月中旬期間の【乾燥】傾向で、
梅干し品質は【皮厚傾向】と感じました。
2018年産は、
豊作による量産と定期的な降雨により
◆収獲後期【6月下旬】以降にスス斑症が多発
◆降雨による果実肥大で、【皮薄傾向】
であると感じました。
漬け込み前選別を【徹底】していたため、
皮薄傾向なモノの【格外】率が少なく、
最小限の【切れ果】率に抑えられてます。
昨年比で、品質【向上】なタル分布に感じます。
さらに詳しくを言えば、
漬け込み階級によって【A級率】に違いが生じています。
◆ 高A級率の階級を重視した漬け込み
◆ 1タルあたりのタル詰め梅干し果実数が
選別作業時間に比例するため、
【大玉果】の方が選別効率が良い
その両面を意識しながら、
最適階級/最適熟度/最適園地/タル取引価格
から、最適漬け込み量を見出したい…と考えています。
当園のネット収穫果実は、
選別作業時に4つに大別し、階級分け
◆ チョーヤ規格【秀~良】
⇒ 漬け or 加工原料出荷
◆ 格外【外/生キズ/過熟】⇒ 漬け
◆ 早熟【青色果】⇒ 加工原料出荷
◆ 捨て【その他】⇒ 廃棄
四. 干し作業レポート【2018】
2018年の【うめ仕事】は、
干しざら予想数算出すると、
前年比【141%】の作業量と見積もりました。
昨年より4日早くスタートし、28日間で作業を終えてます。
当園『干し作業』の基本的なスタンスは、
◆ 土用入り【前後】~8月末を干し作業期間と考え、スケジュール調整
◆ 作業期間内終了を意識し、【等階級/数量】を調整
◆ タル価格と加工原料価格を予想し、漬け込み内容を調整
2018年の【干し期間】は、
梅雨明け以降、真夏日が連日続き、
日射量も例年より高い【好条件】が続いた7~8月でした。
『台風12号』対応以外は、かなりスムーズに進捗しました。
◆ 家内労力のみで【タル詰め作業】
◆ タル詰め作業の高度化と両親高齢化による選別精度低下
◆ 秋冬期【9月以降の作業】の時間確保
以上の点を考慮しており、
うめ仕事は【加工原料推し】の出荷振分で対応しています。
本年は、8月【お盆】以降~9月にかけて、
長雨&度重なる台風の来襲が【干し作業】に大きく影響しました。
巷では、9月の干し作業では、
かなり【進捗遅れ】が生じた…と聞いています。
タル詰め作業の
【選別作業効率化/高品質タル提供】両立が図れるよう、
本年以上に、改善・向上を図りたい…と考えています。
五. 漬け or 原料出荷?【2018】
梅農家の間では、
『青果【20kg】=白干し1タル【10kg】』
の換算で考えられてます。
にて、その根拠を実証しました。
2017年産の原料出荷【青果】価格は、
不作による取引価格高騰で、
平均すると【450円程度】だと考えてます。
【秀~良】規格で価格比較するには、
¥450×20kg÷換算値【1.5】=¥6,000
と、1タル平均価格が比較対象となります。
2017年産の白干し流通価格の、
平均1タル価格は、計上した【¥6,000】より
も高価格だったと思われます。
但し、【¥6,000】という平均タル価格は、
漬け原料/干し作業の人件費etc. を
考慮していない【目安価格】になります。
農家環境に応じた観点の経営指針となる
再生産【平均1タル単価】は、
【¥5,500】とあります。
※全規格【秀~格外】を含めた平均1タル価格
高騰価格だった【2017年】の平均タル価格は、
平均タル価格 > 再生産価格【¥5,500】
であったように、感じています。
2018年産で、価格比較を実証すると
原料出荷【青果】価格は、
との報道がされています。
実際は、
『 働き方改革によるJA荷受時間の変更』が
大きく影響し、
田辺市場や路外購入業者 へ大量に流れた感があります。
実際の販売価格としては、
◆チョーヤ加工原料出荷 ⇨【昨年比:約65%】
◆JA【ジュース】 ⇨【昨年比:約45%】
◆市場出荷 ⇒【昨年比:約40%】
◆路外業者売り ⇒【未出荷の為、不明】
だった為、販売戦略により
平均原料価格は大きく影響してます。
梅干し価格の方は、
テレビ朝日『林修の今でしょ!講座』7/3放送
【梅干しには凄いパワーがあった!】の影響で
今夏メーカーサイドは、
前年比5~7割増 に繋がってるようです。
本年タル取引価格を決定する時期であり、
需要高騰/昨年原料薄 etc.から、
高騰した昨年より【やや安い】取引価格となっています。
生産量が昨年比【130~150%】だと、
単純に【梅タル販売】では、
収益の【プラス効果】が見込まれます。
漬け込み量を多くすれば、
◆干し期間は長期化し、シーズン内未終了
◆作業遅延により、秋冬作業【剪定】に影響
◆干し長期化は、雇用人件費アップにも繋がる
という【マイナス面】も同時発生します。
収益性と作業性のバランスを考慮して、
農家個々の最適な梅漬け込み量へ調整を図る事
が望ましい…と考えています。
本年、
梅繁忙期の雇用力確保が【大きな課題】でした。
就農者の高齢化による【人口減少/労力確保】対策は、
近い将来避けて通れない【課題】です。
当園でも、
専従者【両親】高齢化で『家内労力低下』
が避けられない課題となっています。
高度化してるタル詰め作業は、
高齢化する農家では継続困難に感じます。
◆秋冬作業に影響しない最適漬け込み量
◆タル詰め効率を上げる手順/漬け等階級
◆作業性と収益性のバランスのとれた適正量
以上の点を考慮して、
当園としても、漬け梅対応していく所存です。
加えて、
家内労力でこなすには耕作面積が広いため、
最適面積へと縮小する【改縮】対応に努めています。
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lxbfYeaa (日曜日, 08 5月 2022 00:47)
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lxbfYeaa (日曜日, 08 5月 2022 01:48)
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lxbfYeaa (日曜日, 08 5月 2022 04:24)
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lxbfYeaa (日曜日, 08 5月 2022 04:28)
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