2017年産の梅作柄は、
と言われています。
作柄に伴い、白干し梅生産量【2017】は
2012年産と【ほぼ同数】の生産量で
過去10年平均比の【15%減】と見込まれています。
青果/白干し両方共に、取引価格は高騰している状況です。
毎年、梅漬け農家の間では、
【漬け梅 or 加工原料出荷】いずれが得策だったか…
という話題が絶えません!
明確となった加工原料価格/白干し流通価格と、
梅干し作業時の統計データを基に、
『漬け or 原料出荷?』について検証してみました。
検証データと個人的見解を、以下に記します。
壱. 漬け梅時の歩留まり
一般的に、青果【20kg】=白干し1タル【10kg】と言われます。
その根拠を見いだすべく、
『3Lサイズ【秀~良】』漬け込み桶データを基に
グラフで表現してみました。
【漬け or 加工原料】を考える上で【根拠】となる部分について以下に記します。
※上記グラフ数値は、以下の条件下で算出しています
◆原料梅:コンテナ1杯【20kg】として、
漬け込みコンテナ数を基にした概算値
◆原塩 :当園では、漬け込み塩度【20%】で漬け込み
塩度=原塩÷【原塩+原料梅】の公式から、
コンテナ5杯に対し、塩【25kg】で漬け込み
【原料梅算出値÷4】で出した概算値
◆白干し梅 :干し梅重量【1タル:10kg】にて積み上げ
◆梅酢&乾燥:漬け込み時、原塩浸透で発生する梅酢
干し作業時、水分蒸発され白干しに
梅酢量が明確にできないため、
【全体量ー白干し梅】で出した概算値
主力階級である
2017年産3Lサイズ【秀~良】の漬け桶から、
算出しグラフ化した情報によると、
◆白干し梅:原料梅+原塩重量の【約半分】
◆白干し梅の原料梅重量比:63.5%
他の漬け桶も、62~67%の範囲内となってます
以上の情報を基に換算すると、
コンテナ1杯【20kg】から生産される
白干しタル【10kg】のタル数は、
1÷【0.62~0.67】≓ 1.5の算出値から、
【約1.5タル】の換算値となります。
梅干し作業をするには、
◆漬け込みする原料代【原塩】
◆干し作業時の別途雇用費
を別途考慮する必要はありますが、
タル詰め時の【1タル平均価格】を算出することで、
加工原料の【1kg価格】と
タル平均価格【1kg価格】÷換算値【1.5】を
比較する事で、
『漬け or 加工原料?』の【1つの答え】
を見いだす事ができると考えています。
一般的に言われる
平均梅干し1タル価格【10kg】が、
青果コンテナ1杯価格【20kg】と同額以上
必要とされる言葉は、
漬け込み原料/干し作業人件費etc. を含めた
簡単な比較方法として、
あながち【的を射てる】と納得できます。
弐. 南高梅漬け戦略【2017】
当園南高梅の生産量目安【30t】を基に、
園地条件/作柄傾向を考慮して、
【手取り収獲/ネット収穫】の振分をしています。
【ネット収穫】園地についても、
◆梅の品質傾向:手取り収穫果の等級分布
病害の発生状況
気象条件から梅の皮質予想
◆梅の熟度:園地別に収穫予想量を元に、
落果率より漬け込み最適期割出
◆傾斜地・平坦地etc. の園地条件
本年産は、手取り収穫【等級分布】から、
◆秀品率:昨年比の約9割程度
◆優品率:昨年比の約1.5倍程度
タル詰め作業時の【デメリット】予想をし、
【漬け梅 < 加工原料出荷&市場出荷】を意識して
漬け戦略を打ち出した結果、
昨年比【4割減】の漬け込み量に至っています。
南高梅全体量【約30%】の漬け込み量となってます。
当園のネット収穫果実は、
選別作業時に4つに大別し、階級分けしています。
◆チョーヤ規格【秀~良】:漬け or 原料出荷
2017年産比率【 漬け:原料出荷 ≓ 1:5】
◆格外【外・小切】:漬け
◆早熟【青色果】:原料出荷
◆捨て【その他】:廃棄
参. タル詰め時の等級分布
当園のネット収穫対象園地は、【7園地】あります。
出荷振分する【秀~良】については、
◆平坦地:果実熟度の【最適期間】のみ漬け込み
◆傾斜地:チョーヤ完熟etc. の加工原料出荷
を基本線に振分しています。
2017年の5月~6月中旬期間は、
まとまった降雨がなく【乾燥】傾向でした。
6月下旬以降、本格梅雨入り【降雨】となりました。
気象傾向が示すとおり、
2017年産の品質は【皮厚傾向】となってます。
【切れ果】率が少ない分、【格外】率が非常に高い
タル分布表より判断できます。
昨年比で、品質【悪】なタル分布となってます。
まとまった降雨による【果実肥大】した
ピーク後半だけで【タル分布】を集計したところ
白干しの【皮質】が大きく向上してる事が
確認できます。
さらに理想を言えば、
【乾燥年】の梅干し品質傾向を考慮して、
漬け込み開始時期を遅らせる【対策】をとった方が、
1タル平均単価UPに繋がる…と感じています。
四. 漬け or 原料出荷?【2017】
2017年産の原料出荷価格は、
不作による取引価格の高騰により、
田辺市場では【昨年比2倍】価格で取引されました。
【チョーヤ完熟/市場出荷etc.】の価格状況を
平均すると、【450円程度】だと考えられます。
2017白干し取引も始まり、
【9,700円前後】の取引だと報道されてます。
【秀~良】規格である、
加工原料出荷と漬け梅【白干し】を比較すると、
加工出荷【¥450】と対等となる1タル平均価格は、
¥450×20kg÷換算値【1.5】=¥6,000
となります。
タル分布を示している3L【秀~良】桶にて、
現時点のタル取引価格で【全量取引】したと想定して
1タル平均単価を計上してみると、
原料出荷より計上した【¥6,000】よりも、
高価格となります。
※但し、当園の3L【秀~良】の漬け込み梅は
平坦園地の適熟期しか漬け込み利用してません
実際1タル平均価格は、まだ少し低い予想です
現在、梅タル流通状況が【不足】傾向である事を
考慮すると、さらにタル流通価格は高騰するモノと
予想されます。
タル詰めした梅タルが、
【格落ち】せずに全量流通できる農家であれば
『原料出荷 < 漬け梅』なのが
2017年の【回答】なのでは…と感じています。
但し、【¥6,000】という平均タル価格は、
漬け原料/干し作業の人件費etc. を考慮していない【目安価格】になります。
その農家環境に応じた観点で判断し、
経営指針となる再生産価格【平均1タル単価】算出の必要性を感じています。
JAより提示された資料には、
梅干しの再生産タル単価【¥5,500】とあります。
※但し、全規格【秀~格外】を含めた平均1タル価格
高騰価格といわれる【2017年】の平均タル価格は、
平均タル価格【2017】 > 再生産価格【¥5,500】
かと、感じています。
五. 干し作業レポート【2017】
2017年の【うめ仕事】は、
前年比【4割減】の漬け込み量の為、
24日間で作業を終えられました。
当園の『干し作業』の基本的な考え方としては、
◆土用入り【前後】~8月末を、作業期間とする
◆作業期間内に終える事を意識し【漬け込み量】調整
◆タル価格と加工原料価格予想から出荷振分を調整
2017干し作業は、
『台風5号』直撃の【8/7】以外は、
連日【真夏日】が続く干し【好条件】だった為、
予定よりスムーズに作業完了しています。
◆家内労力による【タル詰め作業】
◆タル詰め作業高度化と両親の高齢化
◆秋冬期の作業時間確立
以上の点を考慮すると、
当園としては【加工原料推し】の体系となってます。
収穫効率の良い【ネット収穫】で、
南高梅の栽培面積/園地管理で生産量維持する為に、
『漬け or 加工出荷』を意識しながら
今後も漬け込み量の【適量】を目指したい…
と考えています。
今後の梅産地維持を考えた場合、
就農人口の減少&高齢化は避けて通れない【課題】だと考えてます。
現在のタル詰め基準は、
高齢化する農家サイドでこなし続けるのは、困難だと感じます。
生産/収獲/一次加工【漬け込み&干し&タル詰め】と農家が担当している作業を、
【生産/収獲/原料出荷】に一部調整し、一次加工の作業の一端をメーカー側で担っていただく事も、
生産量維持の実現方法ではないか…と個人的に考えています。
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lxbfYeaa (土曜日, 07 5月 2022 22:53)
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lxbfYeaa (土曜日, 07 5月 2022 22:56)
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lxbfYeaa (土曜日, 07 5月 2022 23:48)
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lxbfYeaa (土曜日, 07 5月 2022 23:50)
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lxbfYeaa (日曜日, 08 5月 2022 01:32)
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lxbfYeaa (日曜日, 08 5月 2022 01:34)
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lxbfYeaa (日曜日, 08 5月 2022 04:51)
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lxbfYeaa (日曜日, 08 5月 2022 04:53)
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